第八章 ―それから―

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  実家に帰ってきたからと言って、すぐに気持ちを切り替えられる程器用な人間ではなく、ふとした瞬間に一人で泣く事も何度もあった。 それでも徐々にそう言った時間は減っていき、翔太の事を考える時間も少なくなっていた。 子供達を養っていく為に、働いて稼いでいかなくてはならない。 家族の言葉に甘え、少しだけ休養を取らせて貰った私は、役場での臨時職員の採用が決まり働き出した。 臨時ではいつ契約が終わるとも知れない。私は止まってしまっていた資格取得の為の勉強を、再び始めた。 このご時世、資格の一つ二つ取ったところで、簡単に就職が決まるものではないというのは百も承知の上。 だけど、頑張った事は無駄にはならないと思う。 6月の半ば、資格としては決して難しくはないけれど、無事合格出来た。 そしてその資格を条件とする求人先に応募したのは、8月初めの事。  
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