第三章 ―借金―

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  きっかけはカナちゃんのメールだった。 その時、私は約束を破り続ける翔太の携帯を勝手に操作するという暴挙に及んだ。 カナちゃんをシークレット設定し、着信拒否。指定アドレス拒否にも登録した。 彼女からしてみれば、電話が繋がらなくなり、メールは返ってくるようになり、不安だったんだと思う。 アドレスを変えて、夜中近くにメールが届いたのだ。 既に翔太は寝に入っていて、携帯に手は伸ばしたが簡単に確認したかと思うとすぐにまた寝てしまった。 翔太の携帯を確認しないと落ち着かない毎日で、それが行動の一部となっていた私。 今までの彼氏の携帯は、見ようとも思わなかったのに…… 醜い感情がどんどん私を蝕んでいく。止めたいのに止められない。 こんな自分が嫌いで、それでも止められない自分が居る。 苦しかった……。 しんどかった……。 でも、本当の苦しみはこれからだったのだ。  
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