4332人が本棚に入れています
本棚に追加
『もしもし……?翔ちゃん?』
「…………もしもし」
カナちゃんは戸惑っていた。ま、彼氏と思って電話して女が出たとなれば、誰だってそうだろう。
私も痛いくらいに心臓が脈打っていた……。
「カナさんですよね?」
『……はい』
「翔太とは付き合ってるんですか?」
『はい』
「いつからですか?」
『○月○日からです……』
この時点でもう泣きそうだった。でも泣くわけにはいかないと、グッと感情を抑えて話しを続けた。
「翔太とは、キスやその先……身体の関係はありますか?」
『……はい』
取り乱したかった。泣いて喚いて暴れたかった。
刃物で心臓を一突きにされたような、そんな衝撃だった……
泣くのを堪えるのに必死な私に、彼女が話しかけてきた。
『あなたは誰ですか?』
「翔太の妻です」
『え……?いや、だって……。本当ですか……?』
「はい。子供も居ます」
彼女もまた、大きなショックを受けたに違いない。
暫くお互いに言葉が出て来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!