第三章 ―借金―

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  この後、翔太は怒りに満ちた三人の女に囲まれ、生きた心地がしなかった事だろう。 でも、怒りが落ち着いてから溢れて来るのは、悲しみと苦しみだった…… 「翔太とは二度と会わないし連絡も取らない。幸せになって下さいね」 カナちゃんはそう言って、泣きながら帰っていった。 そして、残された私も何かが切れたように泣き喚いたのを覚えている…… 「ごめん……本当にごめん!」 「謝るくらいなら、最初から浮気なんてしないでよ!!」 怒鳴りながら、ただひたすら泣いた…… 帰りの電車の中、無言で翔太に結婚指輪を渡した。 落ち着くまでつけたくないとの意味を込めてだった。  
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