第五章 ―罪と罰―

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  私が働き始めてから、翔太は徐々に帰って来なくなる日が増えた。 この時は会社がいろいろ立て込んでいたみたいだから、会議なんかで大変なんだと言っていた事を鵜呑みにしていた私…… でも、一週間に一度帰って来なかったのが、一週間に二度になり、三日に一度になり、丸三日帰って来なかった時もあった……。 「会議が……」 「社長に呼ばれて……」 「接待が……」 全部、全部信じていた。 心の何処かに不安はずっとあったけれど、信じたかった。 でも、三年前の浮気から帰って来ない事や連絡がない事が耐えられなかった……。 だから、私はこんな状態がずっと続くなら転職して欲しいと泣きながら訴えた。 そして八月の半ば、翔太は年内で仕事を辞めると言ってくれた。 会社もいつ倒産してもおかしくない程の状態だったから、私は一安心してしまったんだ。  
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