第五章 ―罪と罰―

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  私は翔太に文句は言わなかった。それには理由がある。 少額だとしか聞いていなかったが、いわゆる『横領』しているのを知っていたからだ。 借金に終われて生活がどん底だった頃、翔太に渡していたお小遣は月五千円だけだった。 もちろんお弁当は作って水筒も用意していたけど、足りなかったんだと思う。 ホンの数百円だけ売上を操作して、飲み物などを買っていると…… 一円でも横領は横領。 罪になるのに、いくら生活が切羽詰まっていたとしても、それを知っていながら見て見ぬふりをしていた私も罪になると言われてもおかしくないと思う…… そして、借金完済してからはお小遣を月二万にまで増やした。 だから、ずっとそんな事を続けていたなんて考えてもいなかった。 だけど、私にも責任はある。知った時に止めなかったのだから。 翔太のした事、私自身のした事の当然の報いなのだと深く反省し、受け止めていた。  
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