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この時、翔太からかかってきた電話でこう言われた。
『借りられなかった。そんなん払わなくていいって』
義父に横領していた事実は告げずに、トラブルを起こして会社に損害を与えたと言ったらしい翔太。
悪意の過失でない場合、その損失の全部を個人が払う必要はないというのが義父の言い分。
でも『横領』は間違いなく『悪意の過失』だ。本来ならば全てをさらけ出すべきなのだが、翔太は自分自身が一番大切だったのだと思う……
「お金どうするの……?」
『…………』
「どうしても借りられない?」
『もっかい話してくる』
実際にどんなやり取りが為されたのか、私は知らない。
だけど、何とか30万貸して貰える事となった。
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