第五章 ―罪と罰―

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  それから慌ただしく消費者金融の申し込みに出掛けた翔太。 その間に母から電話があった。 『結局どうなったん?あちらのお父さんに借りられた?』 「30万、借りられるみたい」 『たったそれだけ?冷たいなぁ』 実は、今までの様々な翔太からの嘘を嘘とは知らず、私は母にも普通に話していた。 だから、母も義父はある程度お金を持っていると思っていたのだ。 私が本当の義父の経済状況を知ったのは、もう少し先の話…… 『んで、残りはどうするん?』 「翔太が消費者金融に申し込みに行ってる。足りないのは、私がクレジットカードでキャッシングするつもり」 『そう……。とりあえずまた何かあったら連絡しんさい。あんたも大変やね。とんだ旦那つかまえたなぁ』 最初に浮気が分かった時、一番に泣きついたのは母だった。 母とは仲がよく何でも話していたし、相談にのって貰ったりしたのも一度や二度じゃない。 浮気と同時に発覚した借金の事も全部知っていた。 『よく頑張ったね』 借金完済した時に母さんから貰った言葉が、凄く嬉しかったよ。 でも、最後まで心配かけてごめんね……  
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