第五章 ―罪と罰―

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  私が自分名義で借金をしてまで翔太を支えようとした事で、翔太は家族の為に頑張らないといけないと一度は思ったらしい。 でも、そんな気持ちも自分の欲望には勝てなかったようで、あっという間にまた家に帰って来なくなった。 私も保険や稼ぎの事を考えて、週三日だったパートをフルタイムに切り替えて貰って、子供達を私の社会保険に入れる事にした。 かなり無理矢理のお願いを聞き入れて下さった店長には、本当に感謝しています。 けれど、また帰って来なくなった翔太に私は追い詰められ、それを敏感に感じとった子供達は幾度となく体調を崩すようになってしまった…… それは私自身も同じだった。 だが、私自身の体調を理由に仕事を休みたくはなかった。39度の熱に朦朧としていた日も、吐き気が酷く起き上がるのさえ辛かった日も、薬を飲んで無理矢理仕事をこなした。 家に帰ればご飯を作り、子供達をお風呂に入れて寝かせる。 休む暇なんてなかった。  
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