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今まで平凡な人生を歩んできた私には、そんな嘘をつく発想がなかったのだ。
純粋と言えば聞こえがいいが、ただ単に甘かった。
この先、この大嘘が発覚するまで何度も疑問を抱きながら、何度も旦那に言われた事を信じてきた。
本当に、世間知らずの甘ちゃんだった私。その私には、嘘が生活の一部だった翔太の本当の性根が全く見えて居なかった……
何より翔太が大好きだった私。
恋は盲目――
正にその通りだ。
加えて翔太は頭の回転は良く、口が上手いから営業向きの人間。
嘘をつくのも上手い。
マンションの事以外でも、「親父は社長だから、将来は後を継ぐ」だの、「親父は多いときはお袋と二人で月に一千万稼いでた」だの、「このマンション、親父の建物」だの、お金に関する嘘のオンパレード。
おばあちゃんも土地売って、一億か二億の預金があるとか言ってたっけ。
因みに、マンションは八百万を自分が出して、残りの四千万は親父がキャッシュで払った。と、言っていた。
今ならば、その口塞いで縫ったろか!?って思う。
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