第一章 ―結婚―

6/11

4332人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
  今まで平凡な人生を歩んできた私には、そんな嘘をつく発想がなかったのだ。 純粋と言えば聞こえがいいが、ただ単に甘かった。 この先、この大嘘が発覚するまで何度も疑問を抱きながら、何度も旦那に言われた事を信じてきた。 本当に、世間知らずの甘ちゃんだった私。その私には、嘘が生活の一部だった翔太の本当の性根が全く見えて居なかった…… 何より翔太が大好きだった私。 恋は盲目―― 正にその通りだ。 加えて翔太は頭の回転は良く、口が上手いから営業向きの人間。 嘘をつくのも上手い。 マンションの事以外でも、「親父は社長だから、将来は後を継ぐ」だの、「親父は多いときはお袋と二人で月に一千万稼いでた」だの、「このマンション、親父の建物」だの、お金に関する嘘のオンパレード。 おばあちゃんも土地売って、一億か二億の預金があるとか言ってたっけ。 因みに、マンションは八百万を自分が出して、残りの四千万は親父がキャッシュで払った。と、言っていた。 今ならば、その口塞いで縫ったろか!?って思う。  
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4332人が本棚に入れています
本棚に追加