第六章 ―義姉と義兄―

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  この時、翔太は仕事はクビになったと言っていた。 私はお金が入ってこないのは正直痛いと思っていたけれど、キャバの世界から抜け出せるならそれでもいいと思っていた。 義姉も同じ考えで、クビになったならむしろ良かった。お金なら心配いらないからと言ってくれていた。 ただ、翔太はその日の夜中、いつの間にか仕事に戻っていた。 ちゃんと頑張れば、まだ大丈夫だと思うからと言って…… それからは、家にはほとんど帰ってこなくなった。 帰ってきたとしても、1週間に1、2度。休憩時間のホンの15分から20分足らず。 この時の不倫相手と、ほぼ同棲状態だったんだと思う…… 『だぁー(ダーリン)の居ないベッドは冷たいよ😢』 『部屋にはだぁーの荷物がちょっとあるだけで、淋しいよ』 後からこんなメールが見つかっているから…… 私には、仕事先の寮でお世話になっていると言っていたけれど。 それでも、連絡も取れずに行方をくらまされるよりは良かったのかな……? それとも不倫という裏切りを知らないままの方が良かったのか……。 きっとどちらにしろ、苦しい事に変わりはなかっただろうけど……      
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