第六章 ―義姉と義兄―

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  そして、翔太のキャバで働きだしてから二度目の給料日がやってきた。 この時、既に私の両親が何かの時の為にと多めに貸しておいてくれたお金は底を尽きかけていた。 いくら私がフルタイムで働いても、そのお金は子供の幼稚園代と託児所代で消えて行ってしまう…… 一応認可の託児所ではあったけれど、あくまで家庭保育室というくくり。軽く月に7、8万は飛んでいく。 保育所なんて、申し込んだところで入れるわけがなかった。 私自身は社会保険に加入していたが、翔太はまだ前の会社と決着がついておらず、離職票を貰えていなかった。 だから、子供たちを私の社会保険に加入させる事も出来なかった…… 国民保険代も払わなければならないし、市民税も安くはなかった。 騒ぎを起こした事もあって、給料がどうなるのかが怖かったが、それでもそのお金に頼らざるを得ない状況。 そして、翔太から聞いた答えは…… 『ないよ』 「え……?」 『だから、ない』 「少しも?」 『1円もない。この間の騒ぎので全部罰金として没収された』 正直、この後何を話したのかはよく覚えていない。 この時も翔太は家には帰っておらず、電話で話しただけだったから。 この後、翔太は私にお金の事は一切聞いて来なかった。 子供の幼稚園代、託児所代、家賃、光熱費…… 無関心だった。  
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