第六章 ―義姉と義兄―

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  こんなにお金の事で四苦八苦していた時の翔太のメール…… そのメールを見たのは離婚直前だったけれど、私はやりきれない怒りと悲しみに包まれた。 『日サロ行ってきた。良い感じに焼けたよ!』 『よく考えたら、仕事先からサクラ(不倫相手)の家まで通うのに、月五万くらい交通費かかってるよな』 私が一人、苦しみもがいていた頃…… お金がないと言っていた翔太は、こんなにもお金を使っていた。 でもそんな事は知る由もなかった私。 もちろん離婚は常に頭にあったし、いろんな情報を集めたりして考えていた。 だけど、どこかでまだ離婚せずにまた元に家族に戻れる事をどこかで願う自分が居た。 そして、クリスマスイヴ―― 私と子供たちは、朝から義姉のところにお邪魔していた。皆で集まってクリスマスパーティーをする予定になっていたから。 そして、お昼過ぎに一件のメールを受信した。 『どっかに出かけてるん?子供たちと夢へのプレゼントを枕元に置いといたから』 びっくりした。 そして、純粋に嬉しかった。 だって、こんなに大変で辛い日々だったけれど、私はまだ翔太を愛していたから…… 翔太への愛情が無くなれば、どんなに楽になるだろうって何度も思った。一瞬で愛が冷めるとか、そんな風になってくれれば ……って。 酷い事もたくさん言われて、帰っても来ないし、助けてもくれない。 それでも、翔太への気持ちは簡単には無くなってくれなかった。 この時翔太がくれたのは、ハートモチーフの可愛らしいネックレスだった。 本当に嬉しかったな……  
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