第六章 ―義姉と義兄―

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  結局、親権、養育費だけを決めた離婚協議書は、その日は完成しなかった。 上の子を幼稚園へと預け、午前中だけ休みを貰った私は昼から下の子を託児所に預けて仕事に向かった。 この時、ほぼ離婚を覚悟していたと思うけれど、遠方の実家に帰ることは迷っていた。 いつでも帰っておいでと言ってくれる両親に甘えるのは楽だけれど、本当にそれでいいのか? 新幹線で何時間もかかる距離になってしまえば、この先子供たちは父親と会う事が出来なくなるのではないか? 近くに居ても翔太に会う気がなければ意味がないけれど、いつかのメールのやり取りで、出来ればすぐに子供たちに会える距離に居て欲しいと言われていたから。 ここまで来ても、最後の最後まで踏ん切りがつかずにいる自分が確かに居た。 そして、その一週間後。 保険解約の日が来た――  
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