とうりゃんせ。

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すっかり根ずいた田んぼのあぜ道を通り、両親より先に君に伝えたかったんだ。 『哲也くんでねぇの?』 実家の隣人のおじさんに呼び止められたが、僕は止まらなかった。 『ごめん、今いそいでるから。』 おじさんは相変わらずに。 『田んぼ今、ぬがるんでっから、足(あす)きつけらぃんよ。』 『ああ。』 東京から革靴で来たけど、そんな事どうでもよかった。 -早く君に会いたい- 僕の革靴は湿った土の道、近道の草むらを通ったので泥だらけになっていた。
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