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『鶏おじさん!!』
ハナの家の門前を掃除する、昔からいる使用人の鶏飼いおじさん(鶏おじさん)を見つけ、昔とおんなじように声をかけた。
『ぁいや~、哲也坊ちゃまでねがすか!?すっがりおがって(成長して)ごりっぱなごだぁ。』
『鶏おじ、ハナは元気か?』
僕は真っ先にハナの事を聞いた。
『お嬢様は元気でがすよ、ただ…』
鶏おじさんはため息一つつくと、浮かない顔でこう言った。
『…お嬢様は、屋敷から一歩もそどさでねくなってすまって、だんな様も困ってるんでがす。』
『…屋敷から出ないのか…何故?』
鶏おじさんは持っていたほうきを握りしめた。
『…神主の娘のお袖が、お嬢様にひでぇ事したんでがす。』
『お袖が!?』
鶏おじさんはしわくちゃになった顔に涙を浮かべた。
『あの童(わら)す(子供)、小川近くの小汚ねぇ浮浪者使って、お嬢様を傷物にしたんでがす!!』
…目の前が真っ暗になった気がした。
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