下劣

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世のバカな男達は皆「彼女彼女」と目くじら立てて、躍起になって「彼女」というものを作ろうとする。 それは、男としての生物的本能なのだから仕方のないことかもしれない。しかし、そうやって「彼女」を作ったって、結局はそのままゴールイン、結婚まで持ち込めることなんてそう簡単にはいかない。それにいくら好きで付き合ってるといったって、所詮は人。嘘もつけばつかれるし、その嘘によって不幸になったり絶望に陥れられたりもする。 嘘をついたりすることは男女共に言えることなのだが、僕個人としては女の方がそういった行動に出やすいと思う。 そういう風に思うのは僕自身がそういう目にあったからかもしれないが。 だが、こんな持論を持つ僕も最初からこんな考えを持っていた訳じゃない。今でこそこうだが、僕も少し前までは先鋒で述べたバカな男だった。 そんな僕がこんな持論を持つようになったのは…だいたい察しがつくと思うが、愛していた彼女に騙され、不幸のどん底に突き落とされたからだ。 少し前まで、愛していた彼女は僕になんでも強請った。そのたび僕は学生時代からコツコツ貯めた貯金を切り崩し、なんとか彼女の要望に応えた。今思い返すと滑稽な自分だが、その頃の僕は嬉しそうに笑う彼女の笑顔が好きだったのだろう。 しかし、結局はそうまでして尽くしていた僕を呆気なく捨て、他の男の元に去っていった。 その時色々あったせいで貯金もなくなり搾り滓になった僕は住んでいたアパートも追い出され、家具一式も差し押さえをくらい路上生活真っ最中だ。所謂、ドロップアウト。 あいつらのせいだ。あいつらのせいでこんな…。と、僕の胸は無実の罪で牢獄デビューした囚人のように、怒りと悔しさと怨些で犇めいていた。 こんなことばかり考えるのも辛くなってきてそろそろ、首でも括るか…などと考え始めていた頃、僕は僕の全てを変える、いい男に出会う事になる。
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