第6話:貴女に恋して

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Side秋山 病院に着くと、もう既に人は居なかった ナースステーションの明かりが眩しいくらいで…俺はナースステーションにいるナースに声をかけた 『此処に運ばれた神崎直は何処だ…』 『神崎直さんは4階の402号室ですよ』 ナースの天使のような微笑みには目もくれず俺はサッサと歩き出す。勿論背後にはヨコヤがちゃんと居て。…まあ、居なくても良いんだが 『秋山君、病院では静かにですよ』 『それくらい分かる』 『足音が大きすぎます、周りに迷惑です』 ヨコヤに言われ、気づいた。足音しか聞こえないこの空間では喋ってなくても足音は響く。完全に俺が悪い 『……』 俺は押し黙り、ペースを遅くした。ヨコヤは背後でクスクスと笑う。腹が立つ奴だ 俺は彼女に早く会いたい 天使の笑顔が早く見たい 早く会わせて欲しくて… 俺は知らないうちに “自分”を見失っていた…
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