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店員が注文を取りに来ると、ビールを注文する。
店員が歩み去ると同時に、何処からか、女の悲鳴が聞こえて来た。
驚いて辺りを見回すと、店の中央辺りのテーブルに着いている四人の女性が、三人の若い男達に絡まれている様子だった。
近くのテーブルの男性客は、驚いた顔で、或いは、事の成り行きを楽しんでいるかの様にニヤニヤと笑いながら見ているだけだ。
助けに行こうと椅子から立ち上がった時、絡まれている女性達のなかの一人が椅子から立ち上がって、冷たい目で男達を睨み付けた。
怯えていたり、虚勢を張っている様子ではない。
男達をユックリと見ると、目の前に立っている男で視線を止める。
「お子様に用は無いわ。一人前になったらいらっしゃい」
女性の静かな声に怒りを感じたのか、女性に掴み掛かろうとした。が、女性は、滑る様にフワリと、蝶の様な身のこなしで男の手から逃れた。
「私に触れたら、直ぐに警察を呼ぶわよ」
男達は警察を呼ばれるのを恐れたのか、捨て台詞も残さず、慌てた様子でやって来た店員に促されるままに店を出て行った。
強い女性だ―と、男の記憶に強く印象付け、その瞬間、女性に心奪われた。
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