第一章屯田兵

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そして、1992年にアステロイドベルトにて、宇宙怪獣と呼ばれる生命体と遭遇。 この時に、87式空間戦闘機『月光』に搭乗して英雄的な活躍をした日本人パイロットコンビにより、宇宙怪獣は退けた。 だが、大戦の傷が癒えていなかった地球連合軍は、この宇宙怪獣の襲来を最終的には大将にまで昇進していた英雄柿崎が、もたらしたとして、世間に公表しあくまでも黒幕は柿崎であると見せることにより、地球全体の団結を図った。 2007年6月25日、北海道の屯田にある屯朋防衛高校のあたりに、宇宙怪獣が襲来した! 地球連合軍の反応は鈍く、パイロット候補にいない学生が、機動兵器を操りかろうじて被害を出さずにすんだのだ。 非常時なため、戦力を欲した地球連合軍は学生に目を留め、こうして彼らは卒業を待たずに宇宙へ行ったのであった。 (宇宙空間) 月面基地に配属となった、屯朋防衛高校の生徒達は屯田兵のコードネームで呼ばれ、予想を上回った戦果に彼らの名前や部隊名は地球連合軍や地球全体に広がっていた。 屯田兵が侵食を共にする戦艦陸奥は、艦長である前大戦の英雄、後川大将に率いられ月面基地に火星から帰還したばかりであった。 「三平・・・じゃなかったな、本間和彦大尉陸奥の疲弊状況はどうだ?」 後川大将が自分の教え子であり、副官である若者を見る。 「三平でも構いません、先生・・・いや、艦長!」 三平と呼ばれた若者、本間和彦が後川に答えた。 「すまんすまん、宇宙に出てからまだふた月ほどしか経ってないからな、つい教師をしていた時のクセでな」 「こちらこそ艦長、すいません」 「いや、構わないさ・・・お互い早く慣れないとな」 後川がそう言うと、二人が軽く笑う。 「被害ですが、試作機動兵器七式・・・ゲルダートが、この前の戦闘で敵の指揮官と思われる宇宙怪獣に動力部を痛めつけられたようです・・・」 「動力部を?・・・・・・大丈夫なのか?」 後川艦長が顎に手をあて険しい表情で三平を見る。 「謹慎中のプロジェクトの整備士である、竹・・・いや、杉野竹斗技師長が言うに変えのパーツはなく、本来の性能の半分も出せないらしいです」
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