第一章屯田兵

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三平の報告に後川大将が眉をひそめた。 ゲルダートは陸奥一番の戦力であり、それが欠けるのはものすごく痛手なのだ。 さらにゲルダートは試作機体であり、予備パーツに限りがある。 その上、杉野竹斗技術者が無断で改造を施し自身の技術を大安売りをしたために、代替の聞かない部品だらけなのだ。 「仕方ない・・・謹慎中といえやることはやって貰わねばな、ゲルダートを少しでもマシにするように、杉野技師長に言ってくれ」 「了解!」 三平が後川に答えると、陸奥のブリッジが警報と共に赤い照明に照らされた。 「何事だ!」 「神那!敵か!?」 後川の声に呼応するように三平がすぐさま、ブリッジオペレーターとレーダー手を兼任する優秀な女性、桜庭神那少尉を見た。 「宇宙怪獣です!距離2000!規模は小隊かと思われます!」 「よし、機動部隊を出せ!奴らを地球に入れるなよ!」 神那の報告を聞き、すぐさま後川艦長が指揮を執る。 「了解!・・・ベーナス小隊、マリンフィールド小隊、ゲル小隊スクランブル!」 三平がすぐさま後川の命令を復唱し、しかるべき部隊に命令を出した。 「ベーナス小隊、スクランブル!」 ベーナス小隊隊長、那須八少尉が部下に先行して陸奥を飛び出した。 「マリンフィールド小隊、海野でるぞ」 マリンフィールド小隊隊長、海野中尉もベーナス小隊の後から出撃する。 そして彼らの後からすぐにゲルダートが、カタパルトにスタンバイした。 「純平、ゲルダートの数値は上がった、なんとか出撃は可能よ」 複座式のコックピットの後部座席に座る女性、天津綾子少佐が数値を見ながらパイロットである男性、望月純平を見た。 「わかった!」 ゲル小隊隊長、望月純平中尉が部下を率いて飛び出す! 「小隊メンバーの量産型七式は良好か・・・よし、近江バックアップは頼むぞ!」 「了解!」 純平が副隊長である近江にそう言うと、サブマシンガンを握り締めて中距離戦を挑む。 「・・・」 海野がライフルで宇宙怪獣をピンポイント狙撃する。 ライフルの弾は全弾海野の狙い通りに宇宙怪獣を打ち抜き戦闘不能にした! 「さすが、ゲル小隊隊長の純平だな・・・ハンデを背負ったゲルダートで、見事に戦いやがる」 海野が遠目で純平の活躍に感心する。 「しまった!」 「ちょっおまっ!?」 那須八の声と同時に高山が叫ぶ。
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