第一章屯田兵

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那須八率いるベーナス小隊は見事に組織的な戦い方で、うまく宇宙怪獣の進行を抑えていたのだが、最後のトドメである狙撃を那須八が外してしまったのだ。 「高山!追え!」 「無理ッ!ヘンテコ茄子先輩!フォーメーションが崩れるぞ!」 「くそ!!陸奥に通信・・・あぶね!!」 陸奥に包囲を破られたと報告しようとした那須八に宇宙怪獣が襲いかかり、回避をしたため那須八の通信は遅れてしまった。 (陸奥) 宇宙怪獣の戦法は巧みだった。 激突して艦艇に穴をあけた後、そこから小型サイズのいわば白兵宇宙怪獣を送り込み、内部から壊滅させるという戦法をとっていた。 「艦内に宇宙怪獣が忍び込みました!非戦闘員は格納庫へ避難してください!繰り返します!」 艦内をアナウンスが流れる。 「急げ!二番隊は第二ブロック、機関部を守るんだ!」 屯朋防衛高校教員で白兵部隊とゲル小隊の指揮官を担当している加藤恵一大佐が指揮を取る。 「大佐!エアが濡れています!」 「そりゃ穴があればエアは漏れるものだ!メンバーにはライフル、艦内用マシンガン、酸素のA装備をさせろ!」 「了解!」 加藤大佐の指揮により、白兵部隊がそのまま分散した。 (格納庫) 陸奥の格納庫では整備士達が艦内アナウンスを聞いて、みんな避難を始めていた。 「御神主任!!早く避難をしないと!!」 小野田章技術者がなかなか避難しようとしない御神主任に駆け寄った。 「ペンペン!?」 「ペンペンって・・・まぁいいですから早く」 章が急いで御神主任の肩を掴んだ。 「痛っ!」 「えっ!?・・・ああ!!すいません!!」 章が慌てて御神主任から手を離した。 どうやら章は御神主任の長い髪も一緒に掴んでしまったようだ。 「それどころじゃないよ!どうやら、事務員かはわからないけど、非戦闘員がこの奥に間違って駆け込んで行ったんだよ!」 「あぼーん!!」 「だから、私はその子を探してから行くから」 「先輩!先に避難してください!」 章がそう言って、御神主任が行こうとした方向へ走り出した! 「ちょうどペンペン!」 「すぐ戻りますから!」 「ああもう!わかった任せたよ!」 御神主任が不安げに章を見送ってから避難した。
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