第一章屯田兵

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「へぇ~・・・じゃあ、結構大変なんだぁ」 章がそう言って、空になったペットボトルをゴミ箱に投げ入れる。 「そうでもないよ・・・章君こそ、整備とかやったりするんだし大変じゃない?」 「うん・・・でも好きな分野だから楽しいけどね、ただどこかのアホの所為で超激務になるのは勘弁してほしいけど」 そう言って章が笑う。 その頃、屯田兵旗艦陸奥は戦闘開始から3時間後に宇宙怪獣を全滅した。 艦内に乗り込んできた宇宙怪獣の白兵部隊は加藤恵一の指揮する白兵部隊に完璧に掃討され、外部にいた宇宙怪獣も機動部隊が片付けた。 味方に数機だけ被害が出たものの海野中尉と望月純平中尉の活躍により、大勝利に終わったのだ。 (陸奥ブリッジ) 「みんな、ご苦労だった・・・艦艇の損傷をなおしエア漏れがなくなり次第、非常用シャッターをあけてくれ」 「はい」 ようやく戦闘が終わり、後川艦長シートから立ち上がって体を伸ばす。 「それでは本間大尉・・・すまないが、しばらく指揮を頼む」 「はい!」 三平が敬礼すると、後川艦長がブリッジを後にした。 (陸奥格納庫) 翌日、屯田兵旗艦陸奥は月面基地への帰還の途中であった。 カタパルトの事務所に逃れていた章達はようやくシャッターが開いて、カタパルトを後にしていた。 「ぺんぺん!・・・心配したじゃないか!」 御神主任がそう言って、しばらくぶりに再開する後輩であり部下である章に駆け寄った。 「すいません・・・エア漏れのせいで、非常用シャッターが全部しまったんで」 「まぁ、無事で良かったよ」 御神主任がそう言ってホッと胸をなでおろした。 「もう一辺言って見ろよ!」 「ええ、何度でもいいますよ!」 格納庫に怒鳴り声が響いた。 「なんだいなんだい!?」 「これは・・・那須八達の声だ!」 章と御神主任が、急いで声のする方角に駆け出した。 「那須八少尉!落ち着いて!」 「高山!お前も那須八先輩は年上で隊長なんだから!・・・」 部下である高野と泉谷が二人の間に入り、二人をなだめていた。
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