第一章屯田兵

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しかし静止されて黙る高山ではなかった。 「隊長だからこそ!!あの援護射撃の外し方はないじゃないですか!!」 「さっきから、うるせぇぞ!!」 高野たちの間から顔を出して高山が那須八にそう言い放つと、那須八が高山に掴みかかり殴ろうとした。 「!」 「!?」 御神が高山が殴られる寸前に二人の間に割って入る。 「うぅっ!」 乾いた肌がバチーンという音を立てながら、御神主任は床に倒れた。 「先輩!!」 「や、いけねぇ!・・・すんません!」 「大丈夫ですか!!」 みんなが御神に群がる。 那須八もまたしまったという表情になり、やや青ざめながら彼女の顔を覗き込む。 「いたたぁ・・・やっぱり、女の子が間に飛び出して、拳がピタッと止まれるのはアニメや漫画だけだねぇ」 御神主任が痛そうな頬をかるく抑えながら、二人の気持ちを抑えるために涙目で笑って見せた。 「せ、先輩・・・」 「那須八、あんたは隊長なんだから冷静にならなくちゃ」 「すんません」 那須八が申し訳なさそうに御神主任に謝った。 「すいません」 高山も御神に深々と頭を下げ、きびすを返したように立ち去った。 「ふぅ・・・」 「先輩大丈夫ですか?」 章が心配そうな表情で、御神主任に塗れタオルを差し出す。 「いつっ・・・ありがとう」 御神がタオルを頬にあてながら床にしゃがみこんだ。 「高校すら卒業せずに、こうも最前線で正体不明の敵と膠着状態を展開していたら、互いにギスギスしても仕方ないよね」 御神がそう言って笑い、那須八達のケンカを仕方ないと許す。 「仕方なくなんかないですよ!・・・みんな同じ、頑張ってるんです!高山ならいざしらず、隊長である那須八があんなに・・・」 「ぺんぺん!」 御神主任が少し厳しい表情で憤慨する章を見る。 「あんたの言う事は正しいよ・・・ただ、那須八も高山も反省したんだ、もう今回みたいに派手ないざこざは起こさないよ、だからもう言わないの」 「・・・」 御神主任が穏やかな口調で、章にそう諭した。 殴られて一番痛かったのは御神主任であるはずなのに、彼女は文句を言わず年上として、泣くより先に後輩を教えたのだ。 「・・・わかりました、もう言いません」 「そそ、それにこういうことは互いに水に流すに限るしさ」
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