さようならも言う価値無し

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…………窓から差し込む朝日が眩しい。 どうやら夜が明けたようだ。 千晶がやけに巨乳で押し付けて来たり、星見ながらいけない空気になって絡みあったりと、妙にピンクな夢を見たりしたが、夢精は断じてしていない。 誓っていい。断じてしていない。 馬鹿はまだ寝てる。 携帯地図アプリで現在地調べよう。 「ん?んん?」 俺は表示された現在地を見て唖然とした。 いや、何かの間違いだ。 ボタンを途中で押し間違えたに違いない。 「……おかしいな」 やり直せど変わらぬ結果。 俺の背筋に悪寒が走った。 「姉さん、いつまで寝てるの?」 ノックとともにドアの外から聞こえて来る声が、俺に痛烈なる現実を突き付けた。 「ちょっと、なんで押さえ付けてるのよ!」 なんでと言われてもね。 これは条件反射のようなものですよ。 人は見られたくないものは反射的に隠しますよね? 一つの部屋に二人の男女。 こんな光景見せられませんとも。 特に、今ドアの向こうにいる方には、ね。
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