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やりますとも、やってみせますとも!この美しい手の指一本一本を舐めますとも!
「ちょっ、君何してんのっ!握手だから!握手!」
手を取り、口を近付ける俺に気付いた門番さん…もとい笹木さんは慌てて手を振り払った。
「握手ですか」
つまらない。
「握手だって!まあいいや、とにかくキミ初日早々遅刻だし急いだ方がいいと思うよ」
時計をチラチラと確認しながら、校門の傍らの小さな扉を開いてエスコートしてくれる笹木さん。
そんな仕種も様になってるのがイケメンの神秘。
俺は促されるままに扉をくぐると、広大な敷地には木やら芝生が植えてあって庭園と呼ぶに相応しいものがそこには広がっていた。奥には噴水が見える。
ふふふ、まさに王道。想定内だ。
「ここをずっと真っ直ぐ行ったら建物が見えると思うから、それが校舎な。
俺は門番だからここ離れられないんだ、ごめんな。
まあ俺から担任に連絡して入口あたりで待っててもらうようにするからさ」
担任かぁ…やっぱ王道にホストっぽいのだろうか…?いやぁ楽しみだ。
俺は頷いてから、笹木さんに深々と頭を下げると颯爽と校舎を目指して歩きだした。
「………変な子が来たなぁ。」
もちろん俺に手を振ってる笹木さんが小さくそんなことを呟いたことを俺は知らない。
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