秘密

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「傘、傘に入ってよ 風邪ひいちゃうから。」 「用意がぃいね」 そう言って振り向いて あなたは笑ったけど 私は笑えなかった。 なんで?聞いておいて 答えを聞かずに走り出すかな。 「えっ? あぁ…子供の迎えの事?」 そう言って 自然に私の差し出した傘を右手に持ち あなたより少し 背の低い私が濡れないように 左側に寄り添ってくれた 右手から左手に傘を持ち替えて あいた右手を 私の背中にそっと添えて 「誰かが言ってた。 子供が保育園だって…」 「…あぁ」 私のいないとこで そういう話題って 出るんだ… 「大丈夫?」 えっ? 「濡れてない?」 そう言って あなたは私の背中に添えた手を、少し自分に 引き寄せるように 力を入れたように 感じた。
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