始まりの桜が咲いています。

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「散歩に行ってこぉわい(行ってきます)」 そう言って、玄関を開けた。 その途端、コロは元気一杯に外に飛び出した。 「ちょっと待って、コロ」 勢いよくコロに引っ張られ、バランスを崩してこけそうになった。 しかし、なんとか踏ん張ってこけずに済んだ。 「コロ!ストップ!」 私は強くリードを引っ張った。 コロは走り出していたのをピタッと止めて、私の顔を窺うようにつぶらな瞳をうるうるさせて見ている。 『ごめんなさい』とでも、言っているみたいに見えた。 こんな目で見られたら、キュンッとしてしまう。 急に走り出して飛び出した事なんて許してしまう。 「ゆっくり歩いてから、後で走ってあげるけん」 「わんわん」 「よし、いい子、いい子」 私はコロの頭を軽く撫(な)でた。
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