始まりの桜が咲いています。

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コロをやっと視界に捉えた。 しかし、私はとんでもない光景を目の当たりにしてしまう。 それはコロが見ず知らずの男の人に勢いよく飛び掛かる瞬間を見てしまったのだ。 その男の人は、バランスを崩して尻餅をついてしまった。 ガーン!! 嘘でしょ、もう何してんのよ。 謝らなきゃいけない…… でも、怖い人だったらどうしよう。 怪我をしたとか言って、お金を請求されるかもしれない。 いや、もっと酷かったら殴られて、気絶して…… イヤーッ! とんでもない悪い想像ばかりが浮かんでくる。 どうしよう…… 迷ってる暇はない。とにかく謝って許してもらうしかない。 一気にテンションが下がった私は、恐る恐る近づいて行った。 空は家を出た時よりも、さらに薄暗くなっていた。 公園の時計の針は午後七時前を差しているのが見えた。
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