始まりの桜が咲いています。

21/26
前へ
/321ページ
次へ
「笑うな!」 「はいはい、もう笑わんけん」 顔中をコロに舐められていたようで、べとべとに濡れている航輝は抱き抱えていたコロを私に渡した。 あまりよだれは気にしていないようだ。 「相変わらず元気というかやんちゃやな、コロは。誰に似たんやろな」 あからさまに航輝は私を見て言った。 しかも目を細めて、嫌味たっぷりに。 ピピピッ! 遂にムカつきパラメータがMAXに達した。 「一発、殴らせて」 「はっ」 バコーン! 「イテーーー!」 私は有無言わさずに、航輝の頭をおもいっきり力を込めて、一発殴った。 よほど痛かったのか航輝は頭を大袈裟に摩っている。 少し力を入れすぎたかもしれない。 だけど、あんなに私を恐怖に陥れた報(むく)いだ。 「私をビビらせた罰やけん」 「ごめん、ごめん」 笑いながら航輝は謝っている。しかし、反省の色はこれっぽちもなさそうだ。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加