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『一ヶ月後』
「彩夏、帰ろう」
「うん」
小春が家に帰る準備をしている私の席にニコニコしながら来た。
「授業が終わったら、本当に小春は嬉しそうやね」
「えー何で分かるん?超能力を使ったん?」
「何を言よん(言ってるの)。顔に出過ぎやけん。めっちゃニコニコしてるやん」
「そんなにニコニコしてる?」
「うん」
私は即答した。
小春を待たせすぎるのも、悪いから早く帰る準備をして、椅子から立ち上がった。
その時、ふと窓から外のグラウンドを見た。
私の教室は三階にあり、席は窓際。
だから、授業中にもたまに外をぼーっと眺めている。それで先生にもよく注意されてるんやけど。
今、外では野球部がランニングをしていた。
うわぁ、しんどそう(疲れそう)。
私だったら、途中で歩いてしまうだろう。
運動をするのが嫌いやけん。
「彩夏、帰るよ」
「うっうん」
私は心の中でランニングをしている野球部員に向けて『頑張れ』とエールを送った。
特に幼なじみの三崎 航輝に向けてだけど。
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