始まりの桜が咲いています。

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「カッコイイ、めっちゃカッコイイんやけど」 小春は目をキラキラ輝かせて、野球部の練習風景を興奮気味に見ている。 「うーん、そうかな」 「えーーーーーカッコイイやん。彩夏は見る目がないんや」 「はいはい、男を見る目はないですよ」 小春が一目惚れをした相手は野球部の小山 悠一(こやま ゆういち)。 私達の同級生で秋花と同じクラスの男子。 野球部の中で唯一、眼鏡を掛けている。丸っこい顔で人懐っこい。 性格は小春と相性が合いそう。 小春と一緒でテンションが高くて、悠一がいると雰囲気が変わる。ぱっと明るくなる。 「あの黒ぶち眼鏡が凄く似合ってるやん」 「えーそう。普通やん」 「もう意地悪な事ばかり言わんといてや」 小春は頬を膨らませている。 「だって、小さい頃から知ってるから、恋愛対象みたいには見れんけん」 そう私と悠一は通っていた保育園が一緒。 さらに小中高とずっと同じ。 いわゆる腐れ縁って奴。 だから、色々と知っているから男としては見る事がなく、同性感覚というか……仲間みたいな感じにしか思えないのだ。 小春が一目惚れしたと知った時は、正直驚いた。 ちなみに小春と悠一は私と同じ中学校出身。 だけど、一度も小春と悠一は同じクラスにならなくて、小春は悠一の存在を知らなかった。 さらに私も悠一と小春を対面させてはいない。 特に理由はないけど。
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