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襲っていたはずのオレの体は、明らかに今襲われている体勢で。
なんか…
飼い主に凄く従順な犬の降参のポーズみたい。
それを頭の片隅にでも思い浮かべたのが悪かったのか。
徐々に自分の怒りが静まるのが分かった。
妬かないから大丈夫とか思いつつも、こんなふうに妬いてしまうあたり、オレはとことんこいつに惚れてて。
情けないことに期待していた自分もいた。
けど…
「やーめた!」
「へ…?」
オレがスルッと仁の腕から抜け出すと素っ頓狂な声出して、ソファーに突っ伏して、尻だけ上げてるような姿で盛る…正しく犬が居た。
「な、なんで?」
そりゃ、いつまでも口を割らない仁が悪いからだろ。
妬いてるのは惚れてる証拠で、襲うのは欲情してくれてる証拠で。
Pちゃんとのことは後々聞き出すとして。
今は――…
「それ、自分で処理しろよ」
主張しまくりのそこを指差して、天使も逃げ出すような笑顔で、鬼のような台詞を吐いてやった。
ちゃんと白状しない悪い犬を躾なおさなきゃね。
ぺろりと舌なめずりをして、小悪魔も泣いて逃げ出すような可愛さでウインク。
仕掛けられて、体に火がついたような状態の仁には辛いだろう、と意地悪な笑みを浮かべてその場を去った。
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