Chapter 4 -Progress-

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「くっそ、あのチビ助め……」  ひょこひょこと、情け無い足取りで山道を歩くミロス。 「アンタ、一体どんな教育して来たんだよ……」  村長宅を後にしてから、ずっとこの調子だ。  相当強く蹴られたんだな……御愁傷様としか言い様が無い。 「本当に、申し訳ありません。あの子、身長の事は特に気にしていまして……」  さっきから謝りっ放しのイルクさん。  身長を気にするとは言うが、クリスちゃんって何歳なんだろうな。 ――というか、イルクさんは何歳なんだろうか。  俺達よりは年上だろうけど、全然老けてない。  とすると、大体二十三、四歳って所か。  まあ、俺が幾ら思案したところで、論より証拠。  ミロスから意識を逸らす為にも、直接聞いた方が良いだろう。 「それにしてもよ……股間蹴る事はね――」 「少しお聞きしたいんですが、イルクさんってお幾つなんでしょうか?」 「………………」  よし、割り込み成功。  ミロスが怨みがましい目で睨んでるが、問題無い。  さっき、助け船を出さなかった報いだ。 「私ですか? 今年で二十五になりますが……。何か、ありましたか?」  二十五……うーむ、人間が出来てるな。  ミロスに見習って欲しいもんだ。 「ああ、いえ。少し気になっただけなんで、気にしないで下さい」  不思議そうなイルクさんに微笑み、話を切る。  これで、ミロスも愚痴は言い難くなった筈だ。万事オーケイ。 「そうですか……。……あ、そういえば、私もノークさんにお聞きしたい事がありました」  俺に聞きたい事?  何だろう、戦闘での得意分野とかだろうか。 「はい、構いませんよ。何でしょう?」  別に拒む理由も無いので、承知の意を示す。  イルクさんは、少し考えてから―― 「貴方は、ノーマンですか?」  静かに、尋ねた。
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