一章 大佐と少佐

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やはりどこかやる気の欠けた声でサラサが相槌を打つ。 あまりにも緊張感のない彼女に、シンは投げやりな気持ちで遺跡の入り口に視線を向けた。 その時――。 不意に、地面を揺らす衝撃が二人の体を右左に弄んだ。 シンの顔付きが警戒の色に染まる。 揺れは断続的に続いていて、少しずつだが激しくなっていた。 それはまるで、何か巨大な物が地響きをたてながら近付いて来ているかのように感じられる。 「なんでしょうね、これ」 「さあな。あいつら、一体中でなにをやらかしのたやら。 さて――来るぞ!」 シンの警告の声をかき消して―― そいつらは、地面を突き破りながら姿を現した。 まず初めに見覚えのある二人の青年が顔面蒼白で転がり出てきて、それを追うように巨大な機械兵器が何もかもを破壊しながら姿を現した。 一瞬、シンは唖然としたが、すぐに我を取り戻して大声で叫んだ。 「おい、鋼、空! お前ら、なんだそりゃ!」 言いながら駆け出すと、腰だめに構えた刀を握り込む。 刹那――。 同じタイミングで駆け出したはずのサラサを置き去りにして、シンの姿が唐突にかき消えた。 次の瞬間には機械兵器の正面へと移動を終えていたシンは、鋭く呼気を吐くと、右足を力強く踏み込み、漆黒の鞘に収められていた刃を閃きのように引き抜いた。 金属が金属を切り裂く甲高い音が響き――機械兵器の前足が二つ、宙を舞って地面に落ちる。 「……ってぇ。なんて硬さだよ。胴体ごと斬るつもりだったのに、前足だけで精一杯だ」 右手をプラプラと振って、シンが文句を吐き出す。 その目前では、二つの支えを失った機械兵器がゆっくりと地面に倒れこみ、ジタバタともがいていた。
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