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その昔――
後に《ラグナロク》と呼ばれる大規模な戦争が、この緑豊かな惑星を一変させた。
戦前、惑星の環境が悪化への一途を辿る一因であった機械文明。
これに危機感を抱いた一部の人間が、当時では幻想や空想に位置付けされていた技術、『魔導』を確立し、機械文明を根絶させようとしたために勃発した争いである。
だが皮肉な事に。
惑星環境を慮って始まったこの戦争により、大地も、緑も、空も、水も、全てが完膚なきまでに叩きのめされ、汚されてしまう。
戦争は『魔導』を支持する側の勝利に終わったが、最早人類にとって――ひいては惑星にとって、終戦はさしたる意味を為さなかった。
惑星環境は、ついに破壊されたのである。
誰もが絶望した。
誰もが悲嘆した。
誰もが――戦争の先に訪れた悲劇に頭を垂れた。
しかし――。
やがて、人類は黎明の時を迎える。
機械文明と惑星環境とを引き換えに手に入れた技術、『魔導』。
その力は、人々が思うよりもずっと、強大だった。
荒廃した大地と、日の光を遮る薄暗い曇天。
『魔導』はそれらを少しずつ、けれど確実に修復し、人類は新しい『歴史』を築き上げていった。
そして――現在。
かつて文明を支えていた技術が忘却に付される今、機械は禁忌とされ、それを扱う者達は皆、総じて異端者のレッテルを貼られる世の中。
そんな時代で、物語は紡がれる。
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