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「それにしても……でかいな、こりゃ。遺跡の掃討型機械兵器か?また厄介な物を……」
刀の峰でポンポンと肩を叩きながら、困ったように眉を寄せるシン。
遠巻きにそんな様子を見ていたサラサが、はっと緊張に息を詰まらせる。
もがきながら頭部を持ち上げる機械兵器から、幾つもの銃口が突き出していた。
白い光が仄かに灯り、高出力のレーザーが夜の闇を一直線に引き裂いた。
「大佐!」
サラサにしては珍しく、どこか焦りを滲ませた声。
だが次の瞬間、彼女は信じられない光景を目撃した。
緩やかな斬線が、夜の闇に舞い踊る。
刃はそこにある全てを否定するように空気の悲鳴を引き連れて閃くと、機械兵器の体から伸びる銃身を片っ端から斬り飛ばしていった。
行き場を失った鉄の塊が地面に転がる。
圧倒的な速度で全ての銃身を切断して見せたシンは足の爪先でそれを蹴り飛ばすと、刃を鞘に収めながら面白くもなさそうに口を開いた。
「つくづく厄介だな、こいつ……て、どした、サラサ?」
「……いえ、なんでもありません」
どことなく拗ねたようにそっぽを向いて、サラサはぞんざいな口調で答えた。
心配して声を上げたなんて絶対に言いたくない。
事実、心配など無用であるのは今のでよく理解した。
まさか、レーザーを避けた上で銃身を斬り伏せるとは。
この男の強さは知っていたが、それでも呆れるしかなかった。
「それより、早くそのデカイの、なんとかしちゃって下さい。このままじゃ危険ですし、逃げた二人も追わなくてはなりませんから」
「な、なに? 逃げた? 嘘、いつ!」
「大佐がそのデカブツの前足を切断している時に、こっそりと。一応捕まえようとしたんですが、上手く逃げられてしまいました。慢心でしたね」
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