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「早かったな、レルト」
レルトが訓練所に到着するとメイトューレが出迎えてくれた。
彼は呼吸は少し乱れているだけで疲労の色は見えない。
「毎朝の新聞配達の成果だよ。あっ……ありがとう」
メイトューレから投げて寄越されたドリンクを受け取りそれを煽った。
少し温めのドリンクが喉を通る。
運動直後で体温が上がっているときに冷たい物を流し込むが嫌いなレルトにとっては丁度よかった。
「あ、レルト君も到着ですね」
ネルがこちらにやって来た。
彼女が纏っているのは、ラインライト唯一の正規軍、ククト軍の軍服だ。
「ネル先生、もしかして走って来たんですか?」
そう尋ねるレルトにネルは頷いた。
「えぇ。駅に着いて直ぐに。私だって軍人です。これぐらい運動しないと鈍ってしまいます」
「途中で私は追い抜かしたんだがな。なっ、ネルちゃん」
メイトューレがそう言うと、
「びっくりしましたよ。メイトューレさんにいきなり抜かれて……。私が出迎えるはずでしたのに、逆に出迎えられました」
ネルは小さく舌をだした。
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