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その本人のアネルートフィアは今朝から黙ったままだった。
仕え人の関係のためレルトと余り離れる事の出来ない彼女は、あの列車に忍び込みこの訓練所にいる。
だが姿は見ていない。朝食時にあったのを最後にだ。
その時の彼女の顔は、合否結果を待つ学生のようだった。
「レルト君」
メイトューレと共にやって来たフィルシーに呼ばれ、レルトは思考を中断する。
「どうしたの?考え込んじゃって」
「ちょっとね」
心配してくれたフィルシーにレルトは笑みで答えた。
「そっか」
彼女は追求すること無くあっさりと引いた。
お互いの悩み事は打ち明けるまで干渉しない。打ち明けたら全力で助ける。それがフィルシーとレルトだ。
「なんかピリピリとしてるな」
メイトューレが作業中の教師を見てそう述べた。
「命に関わる事だからね」
レルトは言う。
「使い魔の召喚はククトのライセンス保持者3人以上の立ち会いのもとで行われる。召喚する前には命を落としても自分の責任だと言う証明の書類にサインをしなくてはならない。……仮ライセンス取得試験には必ず出る規約だよ」
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