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「あっ……。始まるみたいだよ」
フィルシーが小さく声をあげた。
1人の生徒が魔法陣を起動させる。
そして現れたのは鳥だった。
その生徒は至極残念そうな顔をしていたが、レルトを始め、教師達はホッと胸を撫で下ろす。
「こんな感じに進めばいいのだけど」
レルトはそう呟く。たがレルトの望みは簡単に費えた。
カインが入学式の前日に不良から助けたと言う少女、アンナ・アルテスが水を司る精霊を、アンナの友達のティファ・イルナジーが地獄の番犬ケルベロスを召喚したのだ。
その時、教師達は身構えて、レルトはアネルートフィアを呼ぼうとした。
しかし、水の精霊は「いいよー。契約しよ」と、ケルベロスは「ワシを呼ぶ人間。気に入った」とあっさりと契約したのだ。
「なぁ、レルト。精霊とかってあんなに簡単に契約出来るものなのか?」
呆気にとられたメイトューレがレルトに尋ねたが、
「さぁ?」
としかレルトは答えられない。
普通、精霊とかになると召喚した人間を排除する傾向がある。だから召喚前に、命をおとしても良いことを示す書類にサインをするのだ。
今回は、たまたま心の広い精霊やケルベロスを召喚をしたのか、レルトはそう結論づけた。
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