1351人が本棚に入れています
本棚に追加
その女性は白銀の長い髪をまっすぐ伸ばし、瞳は血の様に深紅。
服は袖や丈が長く、胸元が開いた特徴的な白銀の服。
そして他人を威圧して寄せつけない雰囲気を纏っている。
「なぁ……これって……」
「……もしかして……」
メイトューレとフィルシーは確信していた。していたが認めたく無い。否定してもらいたいためレルトに尋ねる。
「うん。……天上人だよ」
しかしレルトは肯定した。あの女性が纏っている服は天上人の衣装、そしてあの雰囲気はアネルートフィアと似ている。
「もしかして……アネルが言っていた大ハズレって……」
強大な力を持ち、高いプライドを抱き、人に仕える事を最大の侮辱とする天上人。
間違いない。あの女性が大当たりという名の大ハズレだ。
女性はあたりをぐるりと見渡す。そして、カインに視線を向けた。
並大抵の人ならすくんでしまう視線に臆することなくカインは言う。
「契約するぞ」
すると女性は声を上げ笑い始めた。
そしてひとしきり笑うと底冷えするような声で
「おい人間。貴様らはいつからそんなに偉くなった?」
と言った。
最初のコメントを投稿しよう!