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「そう、息子だ。と言っても義理だがな」
「人間の息子……。その経緯は如何なるものだ?」
まだ動揺しているユーフィクエントは、アネルートフィアとレルトを交互に見る。
「話しが長くなるので割愛する。ここは今、合宿中でな。だから簡単に言うと、母性本能に目覚めた、だな」
そう言うアネルートフィアは何処か皮肉そうだ。
「将来を共にする男もいなく、体を抱かれた事も無い私が母性本能なんて笑いぐさだがな」
「まったくだな」
ユーフィクエントが同意する。
「まぁ、そのレルトと言う仕え人が、お前を我同様にアネルと呼ぶに相応しい事はわかった」
ユーフィクエントはレルトに歩み寄り、目線を彼に合わせる。
深紅の宝石の様な瞳がレルトを射抜く。
「えっ……と」
戸惑うレルトの前髪をユーフィクエントは優しく払う。
「うむ。息子か……。悪くない」
彼女はそれだけ言うと、今度はカインを見る。
「貴様は礼節を知れ」
ユーフィクエントがカインを押さえ付けていた魔法を解除する。
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