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「衛生兵!!」
データフレームからの通信にフィルシーは身を強張らせる。
さっきの通信の声がレルトであることに気付かない程に、彼女は緊張している。
当たり前だ。今から重い応急キットを持って戦場を駆けるのだから。
(しっかりしろ、私。弱音なんて吐くじゃないよ)
気合いを入れ、応急キットを握り直し、身体強化魔法を発動する。
「今行きます!」
恐怖を振り切る様に大声で返信すると、フィルシーは戦場に飛び出す。
金属を打ち合う音や、魔法による爆音が、人の怒号や悲鳴が彼女を包み込む。
(恐い……。ううん、ダメだよ気持ちでまけたら。メイちゃんやレルト君達は頑張っているんだから)
戦場の空気にあてられ、今すぐ引き返したい気持ちを今戦っている友達や、自分を待つ負傷者を思い負けずに前進する。
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