第8章 新入生強化合宿訓練2日目

25/40
前へ
/227ページ
次へ
衛生兵の仕事は戦場での負傷者の応急処置、野戦病院への輸送、治療優先順位の判断の3つである。 怪我の治療は軍医の仕事で衛生兵とはお門違いだ。 理由としては治癒魔法は対象者の自然治癒能力を爆発的に引き上げ、怪我の治りを早くする魔法だから。 つまり魔法をかける前には、傷口の消毒や異物の排除、折れた骨を正しい位置に戻す必要なのだ。 戦場でそんな事している時間は勿論無い。 また治癒魔法も人が使うため、必然的に軍医の魔力が尽きれば治療は打ち止めとなる。 限りある魔法で効率良く治療するために、衛生兵は診断の際にトリアージタッグと呼ばれる物を負傷者につける。 フィルシーがさっき着けた物だ。 怪我の度合いから治療するべき順位を決めるのだが、これが最も残酷と言われている。 生きていたとしても、虫の息や治療に時間がかかり、戦場復帰不能の場合は治療不可の判断――つまりは見殺しをしなくてはならないからだ。 ある意味、1番過酷な兵種は衛生兵と言える。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1351人が本棚に入れています
本棚に追加