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ズンと地面が揺れる。
3つの頭の黒い犬は背中から叩きつけられ、服従するかの様に腹をアネルートフィアに見せている。
「様になっているぞ」
高笑いをしながら彼女は盾に使った戒め鎖を編み直し、1本の太い鎖に形成してケルベロスの腹にそれを打ち付ける。
「さて、残るはお前だけだぞ、天使よ」
アネルートフィアは先程の打撃から回復した天使に体を向ける。
ふわりと、彼女の髪や服の袖が舞い花が咲いた様に見えた。
「マスターのためにも……負けれません!」
気合いをいれる天使にアネルートフィアは鋭い目を閉じため息をつく。
「ここまで力の違いを見せ付けられて尚その闘志は認める。だが普通は逃げるべきであろう?それにお前の主は命を張る程の人間ではないであろうに」
上の者が下の者を諭す様な口調。
しかし天使は激怒する。
「マスターを侮辱しないで下さい!!マスターは私より強くて優しい人です!!」
どうやら己のマスターであるカインが侮辱された事が気に入らなかったようだ。
「傑作だな!!人間に負けるとは天使も堕落しきったものだな。それにお前のマスターが優しい?ほざけ。あの唯我独尊の何処に優しさがあると言うのだ」
声を上げアネルートフィアは笑う。
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