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「まぁ、我ながら愚かだったとは思うわ」
というか、まずその描写を話すお前の表情がなにも変わらないのがすごいよ。
「仕方ない。生きてりゃ、道ぐらい踏み外すさ」
そう、生きていれば、道は踏み外してしまう。問題はそこになにが絡んでいるのか、だ。
「……わかってるわ。だからアナタには感謝しているんじゃない」
「だから、礼とか、恩に感じるとかはやめようぜ」
やりづらいのだ。俺が。俺はそんなものを感じられるような人間じゃあないんだから。
〈人間デスラナイガ〉
「あなたがそういうのならそうするけれど、でもお礼はさせて。ありがとう」
「いいよ」
こうして常樹沙羅にまつわる悪魔の話は終演。明日からはまた独りの日常が帰ってくる。もうコイツとは関わることはないだろう。いや関わってしまってはいけない。俺がまた人ならざるものを引き付けてしまうかもしれないから。
「じゃあ今度から気を付けてくれ。じゃあな」
そういって、屋上をでた。
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