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「九墨 光汰朗〔クズミ コウタロウ〕だ」
コイツは九墨 光汰朗というらしい。
「好きな人は沙羅ちゃんです」
聞いてねぇ。てかバレバレだ。見りゃわかる。
「気やすく呼ぶな」
…………キレた。あの常樹がキレた。馴れ馴れしさが仇となったな九墨よ。見てて笑える。
「ごめんなさい!てか北条君はずいぶん沙…常樹ちゃんと親しいみたいだけど、どういう関係?」
「腐れ縁」
「それ酷くないか?」
「冗談よ。彼は私の恩人」
自覚していた。その割りには俺の扱いがひどいと思うけど。
「恩人……ね」
九墨が呟く。
「こりゃ君のが一枚上手か。たがしかし!俺は負けないぞ?」
「何の話しだよ」
「常樹ちゃんは俺がいただく!じゃあな!」
……アイツ、なんか勘違いしてる。
てかお前は同じクラスだったはずだ。じゃあなじゃねぇだろ。
「知らなかった。アナタ、私に片恋中だったの?」
「そんなわけあるか。くだらない勘違いのせいで、なんか変にライバル視されちゃったなぁ……」
〈関ワリタクナイッテノニ〉
「くだらない?くだらないですって!?男は私に惚れるのが当然なのに、それを放棄するつもり!?」
「お前……、ナルシストにも度がすぎるぜ?」
まったくコイツは自尊心の塊みたいな奴だな。
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