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「っ!?」
〈速イ!〉
気が付くと俺は自転車からおろされていた。いや、吹き飛ばされていた。ソイツが左こぶしを突き出しているのを見るかぎり、どうやら殴られたらしい。
「がっ……!」
紙のように吹き飛び、コンクリートの地面に叩きつけられる。呼吸ができなくなる。
『イヤァァァァ!!』
声とも言い難い音を立てて、斬り掛かってくる。とにかくめちゃくちゃ速かった。
とりあえず右ほおに手をあて、仮面をだす。が、気付けばすでに目の前にいるのだ。そして…………
一閃。
縦に俺を両断する。すんでのところで俺は両断はさけた。が傷は深い。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
俺の左肩から右腰にかけて、血が吹き出る。
〈ダメダ〉
コイツには勝てない。
「しょうがない……」
右ほおの仮面に手をあて、それを左ほおまでなぞるように、右ほおにあてた手を持ってくる。すると俺の右ほおから左ほお、つまり口元全体に、まがまがしい牙のついた仮面が発現した。まさに鬼の口元ような。
「こいつでどうだ……!」
口内に血を含みながら前も見ると、誰もいなかった。退いたのだろうか……?
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