147人が本棚に入れています
本棚に追加
後ろで物音。
フルスピードでふりかえる。
『デリァァ!』
やられた……。俺の腹からは刃が突き出ていた。後ろから刺されたのだ、俺は。
「ぐっ………!この野郎!」
後ろに手を回し、相手の手首をつかんだまま刃を腹からひきぬく。大量の血液が逆流してくる。しかし手は離さない。そして相手に一撃。腹に渾身の力で蹴をいれた。ヤツは先程の俺よりもハイスピードで吹き飛び、地面に叩きつけられる。しかしそれでも勢いは死なず、人体の動きでないかのようにバウンドし、道路の真ん中へ転がっていった。地面のコンクリートは大きくえぐれていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
視界がかすむ。血を流しすぎた。本当にヤバいかもしれない。
仮面が音をたてて砕ける。
気付くとヤツはいなかった。さっきとは違い、辺りには本当に俺しか居なかった。
「……行った、か」
俺は意識をもうろうとさせながら、血を垂らさないようにブレザーを傷にあてる。俺の家はもうすぐ。そのまま家へ帰った。
最初のコメントを投稿しよう!