~ 一杯の牛乳 ~

6/15
前へ
/37ページ
次へ
そう、女性は男の子のために牛乳を取ってきたのです。 「遠慮しないで? 私お母さんからいつも言われてるの。 困ってる人には精一杯親切にしなさいって」 そう女性は言います。 男の子はそれを受け取り、微かな声で 「ありがとう……」 と言いました。 そして、それを一気に飲み干しました。 コップを口から離すと、女性は手を口に当てて笑いました。 男の子は首を傾げます。 「あ、ごめんなさい……。 お髭ついてるわ」 女性はそう言うとポケットからハンカチを取り出すと、それで男の子の口周りに付いた牛乳を拭き取りました。 男の子はまた顔を赤くしてしまいました。 「待ってて? 今サンドイッチ作ってたから持って来るね」 女性は男の子からコップを受け取ってまた家に戻りました。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加